【タイ】2012年にバンコク都内のスクムビット通りでバイクでパトロール中の男性警官が高級スポーツカーにはねられ死亡した事件で、スポーツカーを運転していた富豪の男性が現在も起訴されていないことが明らかになり、警察、検察への批判が強まっている。


事故を起こしたのは世界的に人気があるドリンク剤「レッドブル(クラディンデーン)」の創業者の孫のウォラユット・ユーウィタヤー容疑者(30)。9月3日早朝、ウォラユット容疑者が運転する黒いフェラリーが前を走行していたトンロー署勤務のウィチアン警察上級曹長のバイクに追突し、曹長を約200メートル引きずって死亡させた。フェラーリは現場から走り去った。衝突した当時、フェラーリは時速約170キロで走行していたとみられる。
警察はフェラーリから流れ出たとみられるオイル跡をたどってユーウィタヤー邸にたどりついたが、警備員に進入を阻まれた。ウォラユット容疑者は数時間後に警察に出頭し、呼気からアルコールが検出された。容疑者は帰宅後に気を静めるため飲酒したと主張した。
ウォラユット容疑者が出頭する前に、ユーウィタヤー邸の自動車整備係の男性が「自分がフェラーリを運転していた」と名乗り出たが、状況説明が出来なかったことから、警察は虚偽と判断した。このとき、男性を犯人に仕立てる工作に関与した疑いがあるとして、所轄のトンロー署の幹部警官が首都警察付に異動処分を受けた。
この事件では当時のバンコク首都警察司令官がユーウィタヤー邸を訪れ、「相手がどんな大物でも関心がない。真犯人を捕まえられないなら辞任する」とたんかを切り、周辺にいた警官から喝采を浴びた。しかし、捜査は以来、鳴りを潜め、マスコミ、世論も事件のことを忘れかけていた。
事件に再度スポットライトが当たったのは今年3月。中部アユタヤ県で、フォードの乗用車が猛スピードで走ってきた独メルセデス・ベンツの高級乗用車に追突されて炎上し、タイ人男女が死亡する事故がきっかけだ。死亡した男女が前途を嘱望されていたこと、ベンツを運転していた資産家男性が事故後、アルコール検査を受けなかったこと、事故当時のスピードが時速200キロ以上に達していたことなどが次々と報じられ、警察が資産家男性に便宜を図ったのではないかという疑いが浮上した。
事件にともない、マスコミが過去に有力者、資産家が起こした交通事故を再度調べたところ、ウォラユット容疑者が事故から4年近く経っても起訴されていないことが明らかになった。スピード違反についてはすでに時効となっていた。
また、2010年に、当時16歳だった少女が運転する乗用車が高架高速道路上で旅客バンに追突し、バンの乗客9人が車外に投げ出され、下の一般道に転落するなどして死亡、他の乗客5人が重傷を負った事件についても、裁判で執行猶予となったこの少女が裁判所が命じた社会奉仕活動を行っていなかった疑惑が浮上した。この少女は王室の後えいであることを示す姓を持つ資産家一族の出身で、親族には陸軍大将や大手工業団地の経営者、テレビ俳優らがいる。
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